議会報告
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避難所における新型コロナウイルス感染症と自然災害の同時発生の問題と対策について
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現在、新型コロナウイルス感染症患者が増えてきており、第三波とも言われております。元和二年第二回定例会より、臨時会も含め、本市としても様々な支援策等を行っていただきました。
その中でも、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、公共施設にサーマルカメラの設置や、バス、地下鉄の抗ウイルスコーティング 等を行っていただいたことに、大変評価をいたします。
先ほども申したとおり、現在、第三波とも言われている中、さらなる対策が必要にも感じます。
今年は、幸いなことに台風等の被害が少なく、避難勧告も少ないのは、ほっとするところでもございます。
しかしながら、災害はいつ起きるか分かりません。今までも、避難所での新型コロナウイルス感染拡大防止のための様々な議論がございました。
現在の状況で避難勧告が出た場合に、今まで以上に、避難所に行くべきか悩む市民の方も増えてしまうのではないかと危惧します。その問題を解決するためには、避難所がより安全であるという認識を持っていただくことが大切だと考えます。そのためには、今よりも安全性を高める必要があると考えます。
例えば、バス、地下鉄の抗ウイルスコーティング施工のときの要件として、薬剤は紫外線のみに反応するものを除き、空気、自然放射、可視光などに反応する触媒とし、インフルエンザウイルス及びノロウイルスの代替となるネコカリシウイルス等に対して試験等の検証を行い、一定以上のウイルス不活化の効果を証明できるものとなっております。
現在は、研究も進み、この検証を新型コロナウイルスにて行って、効果の出る抗ウイルスコーティングも出てきております。
実際に、ウイルス研究の第一人者である国立大学法人長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の安田二朗教授が、新型コロナウイルスに対する不活化実証試験を実施し、接触五分で九九・九七%以上の不活化効果を確認したそうです。ここで言う五分というのは、学会での発表の数値の最短が五分となっており、これは五分以内に不活化させる効果だというものだそうで、現在は、いわゆる一瞬で不活化させていることを確認するための実証試験を今後行う予定となっているそうです。
さらには、新型コロナウイルスだけではなく、代表的なノンエンベロープ一種類とエンベロープウイルス三種類の全てに対して効果があることを実証されております。
検証実験後の安田二朗教授は、今回の検証実験で高い抗ウイルス効果が確認できた。医療機関や保健施設で活用されることは当然期待されるところですが、それ以外にも病原性微生物を扱う研究施設や一般の家庭においても、衛生環境の向上とい うことで広く活用することができるものだと思う。様々なものに塗布できるため、幅広い用途展開、すなわち汎用性が高く、衛生環境の向上に期待が持てると思いますとコメントをされており、年内には論文の発表を行う予定とのことです。
また、国立大学法人長崎大学は、政府の支援をいただきコロナ研究の拠点にもなっているところであり、ほかにも新型コロナウイルスの研究が進んでいる大学で、エボラウイルスや天然痘など、バイオセーフティレベルフォーの研究がされている、国内でも数か所しかない感染症共同研究拠点の一つであります。
このように、現在は新型コロナウイルスにて試験等の検証を行ったものがございます。
市民の皆様方からも、今までのもので本当に大丈夫なのか心配というような声も伺います。
このような思いから、避難勧告が出た場合に避難所に行くことをためらってしまう原因となるのではないかと危惧するところです。
以前はこのような試験等の検証も行える状況ではございませんでしたが、今後は、このようなもので避難所となる学校や市民センター等の公共施設に導入をしていただくことが、市民の皆様の安全・安心を確保していくことにつながり、災害等で避難が必要なときには、皆様が新型コロナウイルスの対応に安心して避難所に行き、避難していただくことにつながります。
このようにすることが、結果、市民の皆様の安全を確保できるようになると私は考えます。
また、避難所においては、プライバシーの問題から、パーティションが要望されているところでもございます。避難所でのパーティションは、主に段ボール、アクリル、フィルムが用いられておりますが、段ボールは、湿度の高いところでは強度が劣化してしまうことや、カビの発生や害虫などの問題により健康被害なども懸念されております。
また、使用後は廃棄処分となり、新たに購入をしなければなりません。
そのような現状を踏まえ、先ほどの新型コロナウイルスで実証実験をされているものをプラスチック製のものに塗ることで、環境問題やランニングコストとしても削減できるものと考えます。さらに、飛沫は下に落ちていきますので、床面の飛沫対策等にも有効であると考えます。
新型コロナウイルスでは様々な議論や対策がなされておりましたが、より安全・ 安心になるように検討されております。
本市としても、このようなより安全性の高いものを使っていくことが必要だと考えますが、当局の御所見を伺います。
さらには、学校においては、子供たちの感染拡大防止の一助にもなります。
学校が長い間休校となったのは、子供たちが感染してしまうことにより家庭での感染につながってしまうことを防止するために、行っていただいた対応だと認識しております。
市民センター等においても現在利用者が減ってきている中、市民の皆様のコミュニティーの場としても大事な施設ですので、ぜひこのような新型コロナウイルスで実証試験をされたものを使って対応していただくことが、災害発生時における避難所での感染症と自然災害の同時発生に備えることと、常日頃の市民の皆様の安全・ 安心につながっていくと考えますが、教育局、市民局、危機管理監の御所見をお伺いをいたします。
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仙台市からの回答
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危機管理監:
私からは、避難所での感染予防についての御質問にお答えいたします。
本市では、新型コロナウイルス感染症流行下におきまして、避難所の密を避けるため、自宅での垂直避難や安全な地域の親戚、知人宅への避難など、分散避難についても周知を行っておりますが、避難所への避難が必要な方にためらいなく避難していただくため、避難所の感染症対策を進めているところでございます。
パーティションにつきましては、紙のダンボール製ではなく、水に強く耐久性のあるプラスチック段ボールを素材としたパーティションを全ての避難所に配備したところでございます。
その消毒につきましては、本年六月に作成いたしました避難所運営マニュアル (別冊)新型コロナウイルス対策追加事項におきまして、具体的な消毒液の作り方や消毒方法などを示しておりますが、引き続き、新たな技術も含めまして、より効果的で安全性の高い方策等について、費用対効果も見極めながら探ってまいりたいと存じます。
今後とも避難所となる施設の所管局とも連携しながら、避難者の感染予防に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。○市民局長:
市民センター等における抗ウイルスコーティングの導入につきまして御答弁を申し上げます。
現在、市民センターにおける新型コロナウイルスの感染拡大防止策といたしましては、公民館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン、これらを踏まえまして、施設入り口へのアルコール消毒液や受付窓口へのビニールカーテン等の設置、ドアノブや電源のスイッチ、トイレの便座など不特定多数の方が接触する箇所の清掃、消毒の徹底などに取り組んできたところでございます。
御提案の抗ウイルスコーティングにつきましては、有効性などの評価やその効果の持続期間、導入に要する費用なども十分考慮に入れまして、慎重に検討を行う必要があるものと認識をいたしておりまして、当面は、先ほど申し上げたような対策の確実な実施に努めてまいりたいと、このように考えております。
新型コロナウイルスの感染予防策につきましては、今般のお尋ねのように、今後も様々なものが研究、開発されるものと見込まれますことから、私どもも必要な知見を深めながら、引き続き情報の収集に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。○教育長:
学校における抗ウイルスコーティングの使用についてでございます。
各学校では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、手洗いの徹底やマスク着用、換気や密を避けるなどの取組を行ってまいりました。
あわせて、保護者や地域の方々にも御協力をいただきながら、毎日、学校活動終了後に清掃、消毒等を行っており、学校内での感染の広がりは見られない状況です。
抗ウイルスコーティングなど新たな対策の導入は、効果の持続性や費用等を十分 に踏まえる必要がありますことから、これまでの基本的な取組を着実に継続することで、安全・安心な学校環境の維持に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
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